KEY TO LITとしての活動はもちろん、映画『おとななじみ』、ドラマ『霧尾ファンクラブ』、舞台『W3 ワンダースリー』など俳優活動でも輝きを放つ井上瑞稀。5月に開幕する大竹しのぶ主演ミュージカル『GYPSY』では、主人公の娘と駆け落ちするダンサー役を演じる。自身とは真逆なキャラクターで新境地に挑む井上に、半世紀以上世界中で愛され続ける名作に臨む思いを聞いた。
◆自身と真逆なエネルギッシュ&情熱的なキャラクターに体当たり
――実在のストリッパー、ジプシー・ローズ・リーの回顧録を基に、ショービジネスの世界の光と苦難を描く本作。出演のお話を聞かれた時はどんなお気持ちでしたか?
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井上:驚きました。演じるタルサはエネルギッシュで情熱的な役なので、僕の普段のイメージからは離れていたので、「なぜ僕なんだろう?」という驚きが最初に来ました。
稽古が始まった今、本当に頑張らないとやばいなというプレッシャーをすごく感じていますし、僕にお話をいただいた意味を考え、タルサという人物を模索していきたいなと思っています。
――台本を読んで、タルサにはどんな印象を持ちましたか?
井上:タルサは夢を持ちながらも現実に直面している男の子だと感じました。エネルギッシュ、情熱的と表現されていて、そこは自分とかけ離れているところでもあるので、タルサのそうした気持ちを早く理解したいと思っています。
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踊ることや音楽、表現することが好きなところは僕と同じだと思います。違うのは、ミュージカルなので誇張された世界ではあると思うんですけど、僕はうれしくなってもプライベートで踊ったりすることはあまりないところですね(笑)。
――タルサは駆け落ちするような強い思いを持っていますが、恋愛に限らずそうした思いの強さはどう感じられますか?
井上:僕も思ったことはやりたいし、やりたくないことはやりたくないようなところがあって。自分の思いに対しては正直でいたいなと思うので、少し似ているかもしれないです。
タルサは裏ではいろいろなことを考えていて、人間なので表に出ていることがすべてじゃないと思うので、タルサの言葉の裏側に隠されていることなどを意識しながら繊細に演じられたらと思います。それを舞台の大きさで伝えるというのはすごく難しいと思いますが、しっかりと挑戦したいです。
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――ちなみに“エネルギッシュな人”でパッと思いつく方はどなたになりますか?
井上:メンバーの猪狩(蒼弥)は、忙しかったりしてもすごく元気ですし、タフですね。仕事量が多い中でもいろんなことのインプットも忘れないですし体力があるなと思います。
――タルサ役は、3年前の公演では同じグループの佐々木大光さんが演じられていました。
井上:映像で観ましたが、踊りも素敵でしたし、パワフルですごくカッコよかったです。タルサを演じるにあたって佐々木に特に何か聞いたりというのはないです。あまり引っ張られたくないなとも思うので、自分なりのタルサを模索していこうかなと思っています。
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――井上さんなりのタルサをメンバーの皆さんに観ていただくのが楽しみですね。
井上:みんな忙しいと思うので、タイミングが合えば、来てもらえたらうれしいです。
――井上さんにとってメンバーはどういう存在ですか。
井上:難しい…。すごく形容しがたいものではあるんですけど…、僕の中ではやっぱりライバルですかね。彼らには負けたくないというモチベーションがあります。でもそう思ってるのは僕だけかも(笑)。負けず嫌いなんですよね。
◆演技の仕事は「感情が動く瞬間に中毒性がある」
――主人公・ローズ役の大竹しのぶさんの印象はいかがですか?
井上:出演されていたドラマ『海のはじまり』も観ていましたし、先日舞台『ピアフ』を拝見したのですが、本物の役者さんというか、そこに大竹さんはいなくて、すごすぎました。刺激もプレッシャーもたくさんいただきましたし、あの大竹さんと同じ板の上に立つのかと思うとドキドキもあります。
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――大竹さんとお近づきになりたい、という思いは…
井上:大竹さんがどういう稽古をされるのかリアルタイムで見られるだけでも価値があるので、お近づきなんて恐れ多いです。
――『W3 ワンダースリー』以来1年ぶりの舞台出演となります。前回を踏まえて、今作で課題にしようとしていることやこう作っていきたいという思いはありますか?
井上:ミュージカルと謳う舞台への出演が初めてなのでまだまだ知識も少ないのですが、お芝居の中で歌や踊りの比重がすごく大きいので、なぜ歌うのか、なぜ踊るのかみたいなところを、ちゃんと自分の中に落とし込めるところまでまずは持っていけるようにしたいなと思っています。
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ニューヨークでミュージカルを観たこともありますが、エネルギッシュでパワフルで、表現も豊かですし本当にカッコよくて。これが世界か!というのを感じました。今回海外の演出家(クリストファー・ラスコム)の方とタッグを組むのも初めてなので、どう違うのか未知のワクワクがあってとても楽しみです。
――今回初共演の方も多い座組となりますが、井上さんと言えば、“人見知り”で有名です。皆さんとの距離を縮めるために心がけていること、頑張っていることはありますか?
井上:ないから直らなくて(苦笑)。コミュニケーションは大事だなと思いながらも自分のことで手一杯になっちゃって外に広げる余裕がないっていうのもあるかもしれないです。でも今回は、ジュニアの西原至くんや三原健豊くんがいらっしゃるので、お友達がいると思うとちょっと安心です。
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――10代のころから演技のお仕事をされていますが、井上さんの中でお芝居の面白さ、やりがいはどんなところにありますか?
井上:正直しんどい部分もあります。準備も大変ですし、やっぱり気持ちがどうしても引っ張られたりするので辛い時もあって。でも、人としてはすごく豊かになれている気がして不思議な感覚なんですよね。
初めて会った人と恋人になって、関係値を1ヵ月で作っていき、1ヵ月一緒にいた人のために泣くことなんてあるんだろうか?と思うこともありますが、でもちゃんと感情が出てきて、その感情が動く瞬間には中毒性があって。苦しみや辛いこともあるけど、感情が動いた時には楽しさや、やってよかったなっていう人としての喜びも感じるんです。
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アイドル活動と俳優活動で区別は全然していないですけど、演技のお仕事で学んだことがステージに活かされたり、その逆もある。感情の柔らかさや表現の幅の引き出しが増えていくと出せるものも増えてくるので、純粋に人として魅力的になっていくんじゃないかなとも感じています。
――『GYPSY』はローズを中心とした家族の物語ですが、井上さんのご家族は井上さんのお仕事について何か言われたりしますか?
井上:基本は何も言われないですね。両親としてはこんな不安定な職業に就いてほしいかって言われれば難しいところもあると思いますが、でも何も言ってこない優しさみたいなものをすごく感じています。
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何か作品の感想を言われたり、ああしろ、こうしろ言われるのが得意じゃないということもあるので、ローズのようなステージママが身内にいたら、すぐに出ていくと思います(笑)。
(取材・文:近藤ユウヒ 写真:米玉利朋子[G.P.FLAG inc])
Musical『GYPSY』は、東京・日本青年館ホールにて5月6日~24日、愛知・刈谷市総合文化センターアイリス 大ホールにて6月5日~7日、福岡・キャナルシティ劇場にて6月12日~14日、大阪・森ノ宮ピロティホールにて6月19日~23日上演。
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