自分たちが立つ舞台を、自分たちの手で作る。ネルケプランニングのWELCOME KIDS PROJECTによる演劇ワークショップ&体験会「夏休み!オン・ワークショップ2026」が4日目を迎えた。全日程も折り返し、いよいよ後半戦。この日の午後は特別講師の飛田紗和を迎え、舞台美術と衣裳を子どもたち自身の手で作り上げる時間となった。ワークショップ4日目の模様をレポートする。
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◆「祈り」の紙飛行機で舞台の世界観を表現
前半は舞台美術班と衣裳班に分かれて、小道具や衣裳を作っていく。舞台に立つだけでなく、その舞台を支えるものを自らの手で作り上げる。演じる側と創る側、両方の立場を知ることのできる時間だ。
初日に感じた緊張感や、初対面同士のぎこちなさは、この頃にはすっかり消えていた。2班に分かれた後も、自然とそれぞれのグループで会話に花が咲く。数日前まで、「もっと大きな声で返事をしよう」と言われていたことが信じられないほど、声を出すことに慣れた様子が見て取れた。
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舞台美術班では、大小色とりどりの紙飛行機を作成。大きなものは、天井に張り巡らせた紐に括り付けて舞台の世界観を形づくる。小さな紙飛行機は、子どもたちが思い思いの「祈り」を書いた折り紙から作られるもので、クライマックスで空から降り注ぐという。スタッフが制作の意図を伝えると、自分たちの作っている舞台の輪郭がより鮮明になったのか、子どもたちの表情は生き生きとし始めた。
紙に書かれた「祈り」は、実に個性豊か。世界平和にはじまり、夏休み延長、好きなゲームで強くなりたい、果ては株価の話(!?)まで。自由に作業する時間とあって、子どもたちの表情からは素顔がのぞく。
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リラックスした雰囲気だが、制作を手伝うスタッフからの「みんなが思う舞台美術って何だと思う?」という問いかけには、それぞれが真剣に考えて言葉を選んでいた。ただ手を動かすだけの作業にはしない。ここでも、舞台を創るとはどういうことかが伝えられていく。上級生の参加者からの「役者を輝かせるために必要なもの」という回答には、思わずスタッフ陣から「それは舞台を作るうえですごく大切なこと!」と、どよめきがあがる場面も。「その気持ちを持って、この紙飛行機も作ってほしい」というスタッフの言葉に、子どもたちの顔つきがどこか変わったように見えた。
衣裳班は、天使の羽を装飾する。演出を担う末原拓馬からの「“できそこないの天使”役の羽はボロボロにしてね」と役のイメージに合わせた伝言も伝えられ、真っ白な天使の羽が子どもたちの豊かな創造力で次々と形を変えていった。役にあわせて羽に穴を開けてボロボロにしたり、毛糸や羽の装飾でデコレーションしたり。大胆に素材を貼り付けていく子もいれば、完成図を思い描いてから慎重に作業に入る子もいる。
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特別講師として参加する飛田は、「すごくいいね、素敵」とポジティブな声をかけながら、「こういうパーツもあるよ」「こうしてみるのもありかも」と、子どもたちの創造性が芽吹く手伝いをしていく。否定はせず、選択肢を増やしていく。その積み重ねが、子どもたちの手を前へと進めていた。
最初はイメージが浮かばず、なかなか作業が進まなかった子が、周りの子どもたちや講師のアドバイスをきっかけに作業にのめり込んでいく。ひとりでは辿り着けなかった場所へ、誰かの言葉が連れていってくれる。こういった瞬間が生まれるのも、知らない人同士が集まってひとつのものを作り上げるワークショップならではだ。
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◆かわいいTシャツがいっぱい♪ 未来のデザイナー候補誕生!
後半の時間では、全員一緒にTシャツづくりに取り組んだ。本番で着用するおそろいのTシャツに自由に絵を描こうという内容だ。「僕これを描くんだ!」「見て、こうしたの」と、取材中も子どもたちが声をかけてくれる。初日には遠慮がちだった声が、今では自然と周りの大人たちに向けられている。子どもたちの成長スピードを実感せずにはいられない。
変化があったのは子どもたちだけではない。稽古場の壁には、子どもたちが書いた手書きのポスターが貼ってあったり、配役のグループごとの名札シールが新たに作られていたり。無機質だった空間が、少しずつ彼らのカンパニーの色に染まっていっていることがうかがえた。
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さらに子どもたちが作業する脇では、ゲネプロに向けて音響や照明の準備が着々と進んでいた。今回はスタッフとして音響・前田規寛、照明・木村奏太が名を連ねている。プロの音響・照明が加わるのは、このワークショップでは初の試みだという。第一線で活躍する音響と照明のプロが加わることで、彼らがこの数日間で味わう体験は、より深いものになるのではないだろうか。
初日に散りばめられていた種は、確かに芽吹き始めていた。残る日程はあとわずか。自分たちの手で作り上げた舞台の上で、32名がどんな表情を見せてくれるのか。お披露目の日が、いよいよ近づいている。(取材・文・写真:双海しお)
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