セーラー服を着た女子高生が、ヨーヨーを武器に悪と戦う姿を描いたドラマ『スケバン刑事』。1980年代を代表する大ヒットドラマとなったシリーズの第3弾『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇』で、三姉妹を演じたのが浅香唯、大西結花、中村由真だ。放送開始から40周年を迎える今年は、ブルーレイ発売を記念したイベントに大勢のファンが駆けつけるなど、今なお多くの人々に愛され続けていることを証明した。3人を直撃すると、ノンストップでにぎやかなやり取りを繰り広げるなど息ぴったり! 「前世は本当に姉妹だったんじゃないかな」と笑顔を弾けさせる彼女たちが、仲の良さの秘訣や、当時の思い出を語り合った。
◆40周年を迎えた心境は?「あっという間です」
――本作は今年、放送開始40周年を迎えました。率直な感想を教えてください。
浅香:本当に信じられないくらい、あっという間でした。
中村:40年という数字を聞いて、びっくり!という感じです。
浅香:撮影時のことも、本編映像を観ると「そうだ!」「この時、こんなことがあった!」と昨日のことのように蘇ってきます。
中村:でもね、(大西の方に目を向けながら)この人は忘れているんだよ(笑)。
浅香:鍵をかけて、どこかにしまっちゃうんでしょ?
大西:覚えていることもたくさんあるよ! でも40年経ってもファンの皆さんが集まってくださって、3人で一緒にステージに立てるなんてすごくうれいしいことだよね。
続きを読む
中村:ずっと応援し続けてくださるなんて、本当にありがたいことです。
――今でもファンの方々からの愛を感じることは多いですか?
浅香:ものすごくあります! 『スケバン刑事』にはパート1、パート2という大ヒット作があり、当時はそこに続くというプレッシャーもありました。ファンの方が盛り上げ、勢いをつけてくれたからこそ、走り続けることができました。皆さんに支えられて、今があるんだなと感じています。
中村:いまだにブログやインスタにも、たくさん応援のコメントをいただけて…。
浅香:ブログ、やっているの!?
中村:続けているの。
浅香:すごい! えらいね!
大西:由真は本当にえらいよね! 私、全然できない。
中村:性格的にそういうところがあるの。私たち、こうやってどんどん話が脱線していく(笑)。
――仲の良さが伝わります。3代目というプレッシャーもあったということですが、浅香さんはオーディションで唯役に抜てきされました。オーディションには、どのような気持ちで臨みましたか?
浅香:当時の私は、いろいろなオーディションを受けていました。私は宮崎出身なんですが、オーディションを受けても、ことごとく「ちょっとアクセントが…」と言葉の問題で落とされてしまうこともあって。高校とは別にアクセントの勉強をするための学校に通い始めた頃に、『スケバン刑事』のオーディションがあったんです。「成果を出す時だ!」と意気込んでいきました。
続きを読む
大西:成果、全然出ていないよね(笑)。
浅香:「学校に通っているから大丈夫」という事務所からの期待もあったんですが、オーディションでは話すたびに、完全に訛ってしまって(笑)。でも数多く受けたオーディションの中で唯一「この訛りがいい!」と認めてくれたのが、『スケバン刑事』でした。捨てる神あれば拾う神あり、です。
――あの訛りがあってこそ、さらに愛らしいキャラクターになっていました。
浅香:すぐにアクセントの学校は辞めました(笑)。オーディションに受かってからは、もちろんうれしくもありましたが、同時に「これは思っていた以上にすごいドラマだぞ」とどんどんプレッシャーが大きくなりました。
中村:私も、オーディションで由真役に決まりました。私にとってデビュー作だったので、右も左も分からない状態で。ド素人が突然、撮影現場に入り込んだという感じです。「花とゆめ」で連載されていた『スケバン刑事』の漫画はずっと好きで読んでいたので「あの作品か!」と思ったんですが、忍者ものになるということで、どうなるんだろうと戸惑いもありました。撮影に入る前に、みんなで練習をしたよね。
浅香:殺陣の練習をしたよね。
中村:本当に大変で、アザだらけになるわ、筋肉痛になるわで。あの練習は忘れられません。
浅香:私はたしか、2人より前に練習をやり始めた気がする。
続きを読む
大西:1ヵ月くらい前からやったよね。
――大西さんもオーディションだったのでしょうか。
大西:オーディション…だったと思います(笑)。
浅香:でも結花はもうその前にデビューして、ドラマや映画をやっていたんだよね。
大西:アクション練習が始まった頃って、忍者という設定は決まっていなかったんじゃない? 私は、“忍者走り”の練習とかしていないもん。受け身の練習が多かった気がする。
浅香:私は“忍者”ということで始めたので、決まっていたはずよ。忍者らしいアクションの練習、いっぱいやったもん! あなたたちは、東京の人という設定だから。
大西:そうだよね! 私たちは、東京のスケバンだから。でも本当にね、アザだらけになって練習をしたよね。
――一緒にアクション練習をする中で、クラクイン前から仲が良くなっていったのでしょうか。
中村:いつから仲良くなったのか、覚えていないんだよね。でも私は、唯と結花のことはテレビで観て知っていたので。やっぱり最初は、気を遣う部分はありました。
大西:最初はね~(笑)。
中村:(笑)。撮影が濃かったからね。濃厚な撮影を乗り越える中で、仲良くなっていったということはあると思います。
大西:いつも私たち3人が一緒にいるから、スタッフの方からも「本当に仲が良いんだね」と言われて。休憩の時も、撮影の合間も、なんだかずっと一緒にいたよね。
続きを読む
浅香:ご飯を食べに行く時も、一緒に行ったよね。
◆前世でも、きっと姉妹!
――40年経ってもこれだけ仲が良い秘訣について、どのように感じていますか。
浅香:前世は本当に姉妹だったんじゃないかな…?と思うぐらい息が合う。この2人には、変な気を遣わなくていいんです。あとなんとなく2人が考えていることや、その日の機嫌が分かったりもします。
大西:お互いの体調はよく分かるね。みんなとても健康で体力がバリバリにあるんですが、たまに「今日はちょっと調子が悪いのかな?大丈夫かな?」と気付けたりします。
中村:この3人だったから、40年経っても仲良くいられるんだと思う。1人でも違ったら、こうはならなかったんじゃないかな。40年の間、もちろん離れている時期もあったんですが、今もこうして一緒にいられるのはとてもうれしいことです。
大西:撮影時には誰よりも一緒にいて、とても濃い時間を過ごしたんですが、その後はそれぞれが激務になって。時間もなかなか合わず、携帯がない時代だったこともあり、プライベートで「会おうよ」というタイミングを持てない時期もあったんです。定期的に会えるようになったのは、由真がアメリカに行ってからだよね。
中村:そうだね。私がアメリカに住み始めて、1年に1回しか帰って来られないので。そのタイミングに合わせて、みんなが集まってくれるようになって。
続きを読む
大西:そうそう。東京にいると、「いつでも会えるでしょう」と思ってしまうけれど。由真がアメリカに行ってからは、“親戚が1年に1回会う”みたいな感じで会い始めるようになったんです。
中村:こうなるともう、家族よね。
浅香:アメリカに行ったばかりの頃、由真は「寂しい」と言っていたけれど、むしろ行ってからの方が連絡を取るようになったよね。
◆「武器はリリアンだと聞いて、驚きました」「折り鶴で敵を倒せるのかな?」
――ヨーヨー、折り鶴、リリアンとそれぞれの武器も魅力の本作。どのような特訓をしたかなど、武器を使った撮影で印象深い出来事があれば教えてください。
浅香:たくさん特訓をしました。まずは、「ヨーヨーを下に投げて回転させられるようになってほしい」と言われて。さらに下でヨーヨーが回っている間に、セリフも言わなくてはいけないわけです。その次には、「歩きながら、下で回転させてほしい」というお願いまで出てくるようになって。
――手に馴染ませるために、浅香さんは寝る際にもヨーヨーを抱いて寝ていたそうです。
浅香:いつもヨーヨーを持っていました。もともとは、子どもたちが集まってきて「ヨーヨー見せて」と言われた時に相手ができるように…という思いからヨーヨーを持つようにしていたんですが、気付けば家に帰ってもヨーヨーを探していたり、持っていないと落ち着かないくらいになりました。
続きを読む
――中村さん演じる由真の武器は、リリアンです。
中村:最初に武器が「リリアン」だと聞いた時は、「リリアン?」と驚きましたし、本当に嫌でした(笑)。だってリリアンですよ。遊んでいたものですし、あんなにかわいい色の糸を使ってどうやって武器にするんだろうって。そうしたら、編み棒を使うと。それにしたって、編み棒でどうやって倒すの?と思いました。
浅香:あなたが戦っている姿を見て、リリアンを武器にしようと考えた人は「天才だな!」と思ったよ。糸で縛ったり、編み棒で刺すことだってできる!
大西:万能なんだよ!
中村:実際は、編み棒で刺して倒すなんて無理でしょう?
浅香:それを言ったら、ヨーヨーだって!(笑)
大西:それは言っちゃダメなんだって!(笑)
中村:たしかに、網のようにして敵を捕えたりすることもできるしね。そうやって、徐々にリリアンでいろいろな戦い方ができることが分かったんですが、最初は驚きました。
大西:私の武器は、折り鶴です。
浅香&中村:鶴はいいよね。カッコいい。
大西:いいんだけれど、倒せるかな?と思いました。だって折り鶴だよ? 飛ぶの? 倒せるの?って。あの折り鶴は結構重量があるんだ、という設定に勝手に思うようにしていました(笑)。セーラー服の襟のところに忍ばせて、敵に向かって投げていました。
続きを読む
――シリーズの中でも、本作はとりわけアクション満載の作品でした。
中村:毎回、殺陣を覚えるのがとても大変でした。
浅香:一歩間違えるとケガや事故につながってしまうので、みんな本気で集中して臨んでいました。セリフ以上に、殺陣を徹底的に覚えるような日々でした。
大西:唯のアクションは、本当にすごかったよね!
浅香:私は、「できない」と言うのが悔しくて。監督さんに「これ、できるか?」と聞かれると、100パーセント「できます」と答えていました。アクションシーンにはいつも、スタントマンの方が「いつでも行けます」と横でスタンバイしてくださっていて。「無理しないでください」と言われれば言われるほど、「やります!」という気持ちが湧いていました。
――唯が、水中で格闘を繰り広げるシーンも印象的でした。
浅香:水中に入ってもセーラー服が膨らんでしまうので、体がなかなか沈んでいかないんです。何回も潜ってセーラー服を水に馴染ませてから、本番に挑んでいました。でも私、水の中が大好きで! 泳ぐのが大好きなので、過酷に見えるシーンも楽しくて仕方なかったです。忍者っぽいアクションも、自分には向いていたのかなと思います。忍者だった時があるのかもしれません(笑)。
◆「乗り越えなければいけない」――苦労の先に生まれた3人の絆
――3人で姉妹のような絆を育みながら作り上げた『スケバン刑事』。今、ご自身にとってどのような存在になっていますか。
続きを読む
浅香:私たちにとって『スケバン刑事』は、本当にとても大きな存在です。ここまで皆さんに愛していただける作品になったんだという、その思いも抱えていくべきものだと感じています。『スケバン刑事』の撮影が終わった瞬間は、「やっと解放された」とホッとしたんです。でも今振り返ると、その解放はものすごく寂しいことで、そう感じるくらい濃厚でかけがえのない時間だったということ。あの頃には分からなかったことも、年月を重ねた今だからこそ気付かされることがたくさんあります。
中村:私は、デビュー作である『スケバン刑事』からすべてのことを教わりました。『スケバン刑事』が初めだったので、それからのお仕事はどれも苦労に感じないくらい(笑)。それくらい、いろいろな経験をさせていただきました。共演者の長門裕之さんからは、「とにかく、遅刻だけは絶対にしちゃいけないぞ」と教えていただいて。それなのに私、2時間も遅刻したことがあるんです…。
浅香:ええ!? 覚えていない!
大西:そんなことあったっけ!? 由真がパジャマで撮影に来たことは覚えているけど(笑)。
中村:それもあった(苦笑)。でも2時間の遅刻はそれではなくて、スペシャルの時。京本政樹さんもいらっしゃったし、たくさんの方を待たせてしまったんです。大渋滞にハマってしまい、到着した時には、ものすごく泣いてしまいました。皆さんに謝りに行って、怒られると怖がっていた私に対して、長門さんは「仕方のないことだよ。こういうことはある」と言ってくださった。皆さんに本当に温かく接していただいて、その時の出来事は今でも忘れられません。
続きを読む
浅香:ものすごく大切な教えだね。
大西:私にとって、本格的な殺陣はこれが初めてでした。特に受け身がどうしてもできなくて、でんぐり返しのような練習を何度もしたんです。2人はすごく上手にできるのに、私はなかなかできなくて「どうしてこんなにできないんだろう」と思うくらいでした。でも受け身は絶対に必要なので、「これは乗り越えなければ」と思って練習しました。また決めポーズや、驚いた時に一歩引く動きなど、大きな動作をする際にはいつもぎこちなくなってしまって。それは唯と由真も同じで、決めポーズについても「ここの位置が違う」とお互いに細かいところまで確認し合いながら、指が攣りそうになりながら練習したりして。少しずつ、自然にできるようになりました。そうやって3人で一緒に乗り越えていった時間も、絆につながったんじゃないかなと思います。
浅香:たとえば“リリアンの編み棒がバーッと飛んでいく”という一瞬のシーンでも、ものすごく時間をかけて撮影しているんです。今のようにCGがない時代ですから、すべて手作り。そういった場面もスタッフさんがアナログで必死になって作り上げていました。
大西:爆破のシーンだって、本物の迫力がすごいよね。今ならCGでやるようなところ、私たちは本物の爆風を受けていたもんね。
浅香&中村:受けたー! 熱かったよねー!
――ぜひ観返してみたいです!
大西:1話では、お父さんのいる家が爆破されてしまうシーンがあります。私たち3人の背中越しに、手を振っているお父さんが映っているんですが、あの私たちの反応はリアルな動きです。びっくりしたよね!
中村:一発勝負で。本当に驚いたよね。
浅香:本物の家を建てて爆破をしたり、リアルな迫力を感じていただけると思います。ぜひ観返していただけたらうれしいです!
(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)
『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇 HDリマスター版』Blu-ray BOX1は東映ビデオより発売中、Blu-ray BOX2は9月9日発売。
記事一覧に戻る